開発者ドキュメント
試験データを準備し、ワークスペースでモデリングと検証を行い、パラメータと結果を設計や解析に利用します。
ワークスペースを開く対応範囲
現在の標準処理は、NMC単セル、25°C、SOC 20%–100%を対象とします。各モデルの適用範囲は、フィッティングの節点、開回路電圧の基準、独立検証データのカバー範囲によっても変わります。具体的な条件はモデルとレポートに記載します。LFP、複数温度、組電池の解析は、事前に対応範囲を確認してください。
ワークスペースの操作
タスクが計算キューに正常に入った時点で解析を1回記録します。利用枠のあるプランは1回分を消費し、Advancedは実際の利用回数を記録します。同じタスクの再送信は重複計上しません。アップロードと形式チェックは回数に含みません。
- アカウントを登録し、メール認証を完了してワークスペースを開きます。
- 解析を新規作成し、セル、容量、SOC節点、電流の正負、データの種類、出典と使用権限を入力します。
- フィッティング用データ、独立検証用データ、開回路電圧曲線を1ファイルずつ選択します。下記のテンプレートで正確な列名を確認してください。
- 送信後、ソフトウェアが入力チェック、フィッティング、独立データによる検証を順に実行します。プロジェクトページで状態の確認やタスクのキャンセルができます。
- カバー率、誤差、確認事項をすべて確認し、レポートをダウンロードします。ProとAdvancedでは、検証JSONと候補モデルも取得できます。
プロジェクトと出典の情報
名称や出典は読みやすい文字で入力してください。SOCと初期状態はデータ提供者が指定します。モデルの利用条件を確認できるよう、初期SOCの根拠を保管してください。
| フィールド | 意味 | 要件 |
|---|---|---|
name | プロジェクト名 | 1–100文字。 |
cell_id | セル識別子 | 1–64文字。追跡可能な試料の識別子を使用します。 |
capacity_ah | セル容量 | 単位はAh。0より大きく、上限は10000です。 |
nodes | SOC節点 | 0.2–1の範囲で厳密に昇順となる、2–12個の有限値。小数で入力します。 |
current_sign | 電流の正負の定義 | CSVに合わせ、discharge_positive(放電を正)またはcharge_positive(充電を正)を選択します。 |
data_kind | データの種類 | measuredは実測データ、syntheticはシミュレーションデータです。 |
ocv_source | 開回路電圧の出典 | 必須、300文字以内。基準曲線の出典を記録します。 |
authorization_reference | データ使用権限の根拠 | 必須、300文字以内。データの権利を保有していることや、使用許可の根拠を記録します。 |
authorized | 今回の計算への許可 | データを使用する権限があり、今回の計算と結果の提供に使用することを許可します。 |
CSVの列とテンプレート
CSVはUTF-8で保存します。UTF-8 BOMも使用できます。列名はテンプレートと一致させ、重複させないでください。下記の任意列以外の列は追加しません。含めた列にはすべての行で有限の数値を入力し、空欄、NaN、Infinityは使用しません。
- フィッティングと検証には異なる試験記録を使用します。同じファイルや同一の時系列データは、入力・計算チェックで受け付けられません。
- ファイル形式、試験条件、計算規模をそれぞれ確認します。
| データの種類 | 1ファイルの上限 | データ行数(ヘッダーを除く) |
|---|---|---|
| フィッティング用データ | 64 MiB(67,108,864 bytes) | 2–500000 |
| 独立検証用データ | 64 MiB(67,108,864 bytes) | 2–500000 |
| 開回路電圧曲線 | 8 MiB(8,388,608 bytes) | 2行以上 |
| 列名 | 単位 | 入力方法 |
|---|---|---|
time_s | s | 時間は厳密に昇順とし、隣接する行で同じ時刻を使用しません。 |
current_A | A | 選択した電流の正負に合わせます。出力モデルは放電を正とします。 |
voltage_V | V | 該当する時刻の実測電圧。 |
soc | 比率 | 小数を使用します。例えば0.8は80%です。 |
temp_C | °C | 試験槽の設定温度。対応範囲と一致させます。 |
| 列名 | 対象データ | 意味と既定値 |
|---|---|---|
loss_mask | フィッティング | 0または1。フィッティングに含める行を指定します。列全体を省略した場合は1です。 |
row_weight | フィッティング | 0より大きい重み。列全体を省略した場合は1です。 |
drive_mask | 独立検証 | 0または1。走行区間を指定します。列全体を省略した場合は1です。 |
フィッティング用テンプレートのヘッダー
time_s,current_A,voltage_V,soc,temp_C,loss_mask,row_weight独立検証用テンプレートのヘッダー
time_s,current_A,voltage_V,soc,temp_C,drive_mask開回路電圧曲線のヘッダー
soc,voltage_Vこの2列だけを、この順序で使用します。SOCは0–1の範囲で厳密に昇順とし、電圧の単位はVです。
検証指標と判定
各タスクで使用したしきい値は検証結果に保存されます。これらは検証の判定条件であり、実際の誤差は各タスクのデータから計算します。記録の判定には走行区間の指標とモデルの検証結果も用います。
新規にフィッティングしたモデルは候補として提供します。確認事項に基づき、初期状態と設計や解析で使う条件を確認してください。お客様による受入れ確認は別に記録します。未実行、不合格、除外行数は結果に残します。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| 総行数 | 検証データに含まれるすべてのデータ行。 |
| 範囲内の行数 | モデルが定めるSOC範囲内の行。 |
| 評価対象の行数 | 範囲内で実際の誤差計算に使用する有効行。 |
| 適用範囲内のカバー率 | 評価対象の行数を範囲内の行数で割った値。範囲外の行と範囲内の無効行は別に記録します。 |
| RMSE | 評価対象の行における電圧誤差の二乗平均平方根。単位はmVです。 |
| 最大誤差 | 評価対象の行における電圧誤差の絶対値の最大値。単位はmVです。 |
| 指標 | 判定条件 |
|---|---|
| RMSE | ≤ 10 mV |
| 最大誤差 | ≤ 30 mV |
| 適用範囲内のカバー率 | ≥ 99% |
提供するファイル
すべてのプランで、検証指標、適用範囲、確認事項をオンラインで確認し、レポートをダウンロードできます。ProとAdvancedには技術データとモデルの出力も含まれます。検証に合格しなかった場合は、レポートと記録の詳細からデータやモデルの条件を確認します。
- 検証レポート:Markdown形式。結論、予定・合格・未実行の記録数、誤差、適用条件、確認事項を記載します。
- ProとAdvanced:検証JSON。記録ごとの指標、走行区間の指標、検証しきい値、計算時間を保存します。
- ProとAdvanced:対応する検証に合格した場合に候補モデルをZIPで提供します。モデルパラメータのJSON、C・MATLABのパラメータ表、CSVのパラメータ表、利用説明を含みます。
- モデルパッケージのsimulation/には、C99の電圧予測プログラム、入力例、実行手順を含みます。ローカルでのシミュレーションや、自分のCプログラムへの組み込みに利用できます。
モデルとシミュレーションの組み込み
ワークスペースでデータをアップロードし、結果をダウンロードします。モデルを自分のプログラムに組み込む際は、出力されたパラメータと電圧予測プログラムを使用してください。モデルパラメータJSONの形式バージョンはbattery.customer.model.v1です。conventions、initial_state、contract、warningsに記載された入力の定義、初期状態、利用条件を保持してください。
64ビット倍精度に対応したC99コンパイラを使用します。シミュレーション入力のヘッダーはtime_s,current_A,socの順です。時間は厳密に昇順とし、電流は放電を正、SOCは小数とします。温度引数で、モデルに含まれる温度テーブルを選択します。
出力にはvoltage_V、valid、heldを含みます。validは、モデルとOCV表が定める入力範囲内であることを示します。heldは、その点で境界節点のパラメータを使用したことを示します。
終了コードが0の場合、出力は完全です。それ以外の終了コードでは出力を破棄してください。新たな負荷条件の予測誤差は、対応する実測データで評価します。対象機器では浮動小数点の結果と実行時間を確認してください。コンパイルと実行の手順は、パッケージ内のREADMEを参照してください。
チェック結果への対応
ワークスペースから結果のダウンロードやプロジェクトの削除ができます。データの処理地域、保存期間、削除についてはプライバシーポリシーを、料金、解約、返金については各サービスのポリシーを確認してください。
| 問題 | 対応 |
|---|---|
| 文字コード・ヘッダー・欠損値のエラー | UTF-8 CSVとして保存し、対応するテンプレートと、含めた全列の数値を確認します。 |
| 時間・SOC・温度の検証に不合格 | 時間の順序、SOCの単位、試験条件を対応範囲と照合します。 |
| フィッティングと検証の重複 | 別に取得、または分離して保管した検証データを用意し、データの分け方を確認します。 |
| 計算可能なデータ規模を超過 | サポートにタスクの規模を確認します。元データと目標条件を保管し、確認した方法で再実行します。 |
| カバー率・誤差の検証に不合格 | 範囲内の有効行、走行区間、誤差指標を確認し、データ品質とモデルの利用条件を検討します。 |
| 計算未完了・サービスの復旧中 | プロジェクトとアップロード済みファイルを保管し、画面の指示に従って再実行するか、[email protected]にお問い合わせください。 |